30代前半から約10年間ピル(経口避妊薬)を服用しています。閉経までピルを飲み続けるのは安全でしょうか? ピルを飲んでいると閉経したかどうかが分かりにくいのでは? 更年期障害や、閉経後のホルモン治療に問題なく移行できるでしょうか?(40代女性)
も閉経まで安全に飲み続けることも可能
この方の場合は、特に問題がなければ服用を中止する必要はなく、閉経まで安全に飲み続けることができると思います。知識として知っておきたいのは、乳がんのリスクが非服用者の1.2倍になるという研究結果があることです。
また、性交の際にプロテクションを怠るケースが多いため性感染症(STD)にかかるリスクも高くなります。1年に一回の子宮頚部ガン検診(パップテスト)や、血液検査、乳がん検査などを受けましょう。35歳以上で煙草を吸う女性や、乳がんにかかったことのある人はリスクが大きいため、ピルの服用は勧められません。
質問にあるように、ピルで意図的に周期的な月経の出血を作っているので、はっきりと閉経が分からないことがあります。ほとんどの女性は、45~55歳で更年期を迎え、日本女性の平均閉経年齢は50.4歳です。
閉経を確認する方法は2つあると思います。一つは、ピルの服用を中止してから1、2か月後に、血液検査による女性ホルモン検査を受けること。二つ目は、ピル服用を中止した後に生理が来るかどうかを自分で確認することです。ただ、更年期に入っていると生理不順になるので、判断しにくくなります。
更年期のホルモン治療への移行も、問題なくできます。更年期症状の緩和のために服用するホルモン剤も、基本的にはピルと同じです。排卵を抑えるために飲むピルと、更年期、閉経後に飲むホルモン剤とでは、含まれる女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)の量が違うだけです。
英語では「ホルモン・リプレースメント・セラピー(HRT)」と言います。更年期症状の緩和だけでなく、骨粗鬆(そしょう)症を予防、緩和する効果も認められています。この治療がコレステロール値を下げるとか、直腸ガンや心筋梗塞のリスクを下げるとか、いろいろ言われていましたが、それはあまり期待できないことが最近の研究結果でわかっています。
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